インターネットの普及によってテレワークが可能に!
私がパソコンのプログラマーとして働き始めた1984年当時は、まだ一般の家庭にPCは普及しておらず、中小企業に業務用のPCが導入され始めた時期で、Windowsも発売される前だったためOSはMS-DOSを使っていた時代です。
会社や店舗で使用する販売管理や財務管理、給与計算などの汎用的なソフトウェアから、特定の業務に特化したシステムの開発や販売、メンテナンスなどをしていたのですが、その頃はまだインターネットは普及しておらず、メールも使える状態ではなく、携帯電話もかなり大きく重たい自動車電話や、ポケットベルが鳴ったら公衆電話から電話をかけるというのが主流で、パソコンのプログラムの入れ替えなどはフロッピーディスクを使って行っていました。
プログラムの修正やデータの入れ替えなど、今ではメールで送って対応してもらったり、リモートコントロールで行うことも当たり前となっていますが、当時は急ぎでなければフロッピーディスクにプログラムやデータを入れて郵送したり、急ぎの場合はフロッピーディスクを持って車でお客様のところを訪問して作業していました。現場での作業は数分で終わることが大半でしたが、お客様は愛媛県内だけでなく四国全域や広島や大阪、兵庫など広範囲に点在していたため、多い時は1日に600Km以上車で移動していたこともありました。
2005年から障害者の就労支援を行っているNPO法人ぶうしすてむで二神さんと一緒に活動するようになったのですが、それまでは働くことが不可能とされていた重度の身体障害があって、ベッドの上で生活をしている人たちも、通勤することなく自宅でパソコンを使ってテレワークで働くことができるようになり、インターネット回線の高速化が進むことによって、高解像度の画像ファイルや動画ファイルなどもインターネットを介してやり取りができるようになり、自宅でできる仕事の幅も広がって行きました。
2011年には就労継続支援A型事業所を開所し、5年後の2016年には就労継続支援B型事業所を開所して様々な障害のある方と一緒に仕事をすることになりましたが、今では重度の身体障害者よりも対人が苦手な精神障害の人や、聴覚や視覚・臭覚などの感覚過敏があり、集団の中では集中して仕事をすることが困難な発達障害の人が多い状況となってきました。他にも難病の人や昼夜逆転している人など、通勤して働くのが困難な人もテレワークで働ける環境が整いました。
コロナ禍を経てZoomなどオンライン会議のシステムも普及し、情報共有するためのグループウェアやチャットツール、さらにバーチャルオフィスシステムなど、離れた場所で働いていても会議や打ち合わせなどがリアルタイムに行えるようになりました。また、オリヒメなどの遠隔操作ロボットも登場して、重度の障害がありベッドの上で生活している人でも接客業ができるようになったり、手が動かなくてキーボードやマウスの操作ができない人でも視線入力装置などを使ってパソコンやタブレットの操作ができるようになるなど、障害者や難病の人たちが働ける可能性が大きく広がりました。
これから人口減少のなかで障害のある人や高齢者も含めて、一人ひとりが自分のできること、得意なことをして、働いて行かないといけないと思いますが、AIやロボットなどのテクノロジーもうまく活用しながら、社会を支えていけるような世の中になればと願っています。