Since えひめネットワークセミナー1995
えひめインターネットアーカイブ

我々はインターネットの創世記に巡り合わせて30年
働き盛りの年を経て今や後期高齢者。
生きてきた証を今残さなければ失われてしまいます。
皆様の汗と涙の物語を記録したいと計画しました。

えひめネットワークセミナー グループ

1995年開催の愛媛ネットワークセミナー

(インターネットセミナー開催資料)

「パソコン通信」ECCCへの想い

●二神重則さんとの出会い

二神重則さんとの出会いは「二神系譜研究会」発足に向けての平成11年(1999)頃だと思っていましたが、今改めて考えてみると、それよりも10年程前「パソコン通信」を通してではなかったかと思うようになりました。どこでお会いしたかという記憶はないのですが、パソコン通信の折に、お会いしていたのかもしれません。古い記憶と記録を頼りながら、記してみたいと思います。

●愛媛県まちづくり総合センターと「パソコン通信」

私は松山市の沖合い16kmにある二神島の生まれです。元中島町職員でしたが平成17年(2005)12月には松山市と合併し松山市職員になりました。中島町職員の頃、平成元年(1989)4月から平成3年(1991)4月まで愛媛県に派遣されました。配属先は「(財)愛媛県まちづくり総合センター(以下、まちセン)」でした。

昭和50年代に入り「地方の時代」が叫ばれ、全国をはじめ県内各地でも市町村や民間団体などによって個性ある地域づくりが推進されるようになってきました。そのような中、まちセンは、情報の提供や企画の立案、人材の養成などの面から、これらのまちづくり活動を支援する機関として昭和61年(1986)7月に愛媛県、市町村、金融・農漁協団体などの出損金で設立されました。私はその第3期研究員として勤務しました。

仕事内容としては、県内はもとより全国の地域づくりまちづくりに関する情報を収集しその情報をもとに県内で官民と一緒になって「地域づくり研究サロン」「地域づくり交流促進事業」などをはじめ、全国まちづくり情報のデータベース化、情報誌「舞たうん」や「えひめイベントBOX」などの取り組みを行なっていました。その中に「パソコン通信」の業務があり、毎週火曜日の夜に県庁から派遣されていた主任研究員と市町村や金融・農漁協団体から研究員が4名が交替で担当していました。現在では、一瞬にして解決できる情報収集方法がありますが、当時はまだインターネットの普及していない時でした。

そのころ「パソコン通信」は初めての事であり、インターネットに移行する前のこと。言うまでもなく「パソコン通信」とは、会員制の通信サービスの事で、通信には会員になると利用でき、ユーザーはホストコンピューターに接続して情報をやり取りしました。ダイヤルアップ接続という方法で電話回線を通じて接続し、インターネットとは違って接続できるのは同じ通信事業者のホストコンピューターに接続しているユーザー間に限られるなど、地域的な制約がありました。やがて1990年代後半にインターネットが普及し始めると、パソコン通信は徐々に衰退し、ほとんど利用されなくなりました。

●「パソコン通信」ECCC(エック)

まちセンに居る時、パソコン通信に関わることも業務とされていました。まちセン内の一角に「パソコン通信ECCC」(エック、えひめ・コンピューター・コミュニケーション・クラブ)のホストコンピューターが置かれていました。

ECCCはパソコンネットワーク「TOWNタウン」を使って会員相互の輪を広げ、コミュニケーションを図ろうという目的で、昭和61年(1986)9月に設立されました。まちセンの設立が同年7月でしたから、早い時期に置かれたようです。

毎週火曜日に十数名が集まりミーティングを実施し情報交換やシステムのメンテナンス、総会等の行事の打合せや準備、時には初心者の講習なども行なっていました。派遣された私たち研究員は交替で火曜日の夜に詰めて、時にはアクセスをしていたような記憶があります。

愛媛銀行(ひめぎん)の情報誌でECCC紹介される

私がまちセンに居たころのメモ書きによると、平成2年(1990)6月12日、このECCCの活動状況が愛媛銀行の情報誌「ラ・ヴィ」の取材を受けて、第7号(7月15日発行)で紹介されています。その中でECCCの中心的存在だった長尾さんは「難しそうにみえて実に簡単なこと。時間と地域性を越え自分の好きな時に、遠くは北海道や海外の人ともメッセージを交換できる。そして、最大の特徴は年齢・性別・社会的立場にとらわれないで、たくさんの人と知り合えることですよ」とその魅力を語っています。 ※参考「ラ・ヴィ」平成2年7月15日 ㈱愛媛銀行発行

●「パソコン通信」から三十有余年

ICT(情報通信技術)は、私たちの生活や社会の様々な分野で活用されています。教育、医療・介護、ビジネス、日常生活で業務の効率化、生産性向上、人手不足解消、サービスの質の向上など、多くのメリットをもたらしています。

今後、どのような状況になっていくのかは予想がつきません。その反面、ICTのデメリットは費用負担、学習能力の低下、セキュリティリスク、トラブルによる中断などがあることは言うに及びません。適切な対策を講じることは重要だと思います。

昭和20年代生まれの私としては、これまでのいろんな変化の流れが分かる世代です。生まれた時から身近にICT関連の環境で育った世代とは違います。社会は更に人工知能(AI)やロボットなどをはじめとして、大きく進化を続けています。時代が変わっても「人」が行なうことが基本であると思っても、世の流れに対応していかなければ生きていけない時代になっています。

私が初めて携帯電話を手にしてから35年。情報通信技術は大きく変わりました。スマホ、カード、キャッシュレスなど、これからどうなっていくのか予想だにできません。期待半分、怖さ半分といったところでしょうか。出来るなら懐かしき時代に戻りたいという思いもあります。「パソコン通信」をしていたころにもう一度。

【平成2年(1990)6月12日「パソコン通信」ECCC(エック)の様子】
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